|
「私は、漫画が好きです」という言葉は自己紹介には使えない。 何故か。
世間一般に、漫画は本よりも幼稚という認識があるような気がする。 まず、漫画は絵が入っているので「わかりやすい」(※1)。 内容も大方、娯楽系である。人々は、漫画を気張らしの為に購入する。 一方、本を買うのは何かを知るため、学ぶためということが多い。 漫画は気晴らし、本は勉強の為。お母さんが子供に「漫画ばかり読んでいないで勉強しなさい」というセリフはその象徴と言えよう。
実際のところは、本にもだらだらした娯楽系のものがあるし漫画でも真面目な学習漫画もあって、「内容は制作者次第」なのだが、世間一般の認識がそうである以上、「漫画が好きです」という自己紹介は「幼稚な人である」という誤解を招く為使いにくいのであった。
------------------ 誤解を招きやすくて困る、という点から引き続き話をしてみよう。
「私は、漫画が好きです」という人は「お互いすぐに仲良しになれる」と思われる事がある。「漫画」という趣味がその人達を繋ぐと考えての事だろうが、これは大きな間違いである。 例えば、「私は、本が好きです」といっても「ハードボイルド小説」が好きな人、「童話」が好きな人、「料理の本」が好きな人では趣味が違う。だから当然、仲良しになれるとは限らない。 また、「本を読むのが好き」「本を書くのが好き」「本を編集するのが好き」といった具合にどういった部分で「好き」と言っているのかでも付き合いに変化が出てくる。
同じ事が、漫画にも言える。
「どんなジャンルの漫画が好きか」その中でも「どの部分が好きか」(キャラクターが好きなのか、ストーリーが好きなのか、絵が好きなのか、その作者が好きなのか)で好みが大きく分かれていく。 さらに、漫画の場合「妄想」が入る余地があるのでややこしい。どのキャラとどのキャラが恋人同士か、という事が明確に描かれていない場合、「このキャラとこのキャラの組み合わせ以外は認めない」と意見の異なるファンが対立して、凄まじいケンカになることもある。
だから、「漫画好き」な人は「全員仲間」というわけではないのだ。漫画の種類が少なく、描く人も限られていた昔の時代はそういえる時もあったので、ややこしいのだが…。
(2003年12月13日、2004年2月29日:栗本たくみ記)
(※1)実際には「わかりやすい」漫画を描く、というのは技術がいることで、アマチュアが描くとそうもいかない。言いたいことを絵で伝えようとするプロの努力が、漫画を「わかりやすく」しているのである。
|